COLUMN
コラム
ひきこもりびとが家を出るとき。
vol.9
DATE:2021.01.25 WRITER:村山 賢
これまで多くのひきこもりびとに出会ってきた。みんな素直で、純粋で、真面目ないい人たちばかりだ。ひきこもりびと生活は過酷でツラい。それはそれは想像以上に険しい毎日だ。そんな日常を過ごしてきた彼らと会うのは、僕にとっては刺激的で、とても感動的な瞬間なのだ。どうしてひきこもりびと生活を始めたのかを追及することにあまり意味はない。それはもう過ぎ去ったことだから。それよりも、今、この瞬間、彼らがどうしたいのかってことを一緒に考えることが大切だったりする。
ひきこもりびとが家を出ようと思うきっかけは人それぞれ。僕が印象に残っているのは、「かわいがっていた犬が死んじゃったから。」-ずっと一緒にいれて、ワンちゃん幸せだったと思う。「ダイエットに成功した。」-よく頑張った!「美味しいラーメンが食べたい。」-分かるっ!「パスドラに課金するために稼がなきゃいけなくなった。」-課金・・・、ほどほどにね。家を出てきたひきこもりびとの話しを聞くのはとても面白くて、感動的だ。そして、ひきこもりびと生活を頑張った人たちの話しには感心することがとても多い。ドラクエをレベル99にして5周したなんて、もはや神の領域だ。みんなそれぞれ逸話を持ってイツモノトコにやって来る。僕はその話を聞くのがとても楽しい。
最近はホームページを見て来たって人も増えてきた。色んな支援機関がネット上に存在する中で、僕のところへ来てくれるのは単純に嬉しい。ホームページには活動内容だったり、こんなコラムを載せている。「どうしてうちを選んでくれたんですか?」って聞くと、「ひきこもりをしてたって言っても怒らなそうだったから。」それは僕にとって最大の誉め言葉だったりする。