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COLUMN
コラム

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働かないと働けない。
vol.11
DATE:2021.11.05 WRITER:村山 賢

 ひきこもりの理解や支援、居場所づくりについて色んな団体から講師依頼を頂き、県内各地でお話をしてきた。ひきこもりのお話をした後、会場から多くの質問が出る。最近多いのが「ひきこもりとニートってどう違うんですか?」という質問。いやいや、それは全然違う。寿司とおにぎり、いや、ハンバーガーとバンクーバー、いやいや、レオナルド・ダ・ヴィンチとレオナルド熊(古いか…)くらいそれは違うことなのだ。
 簡単に言えば、ニートというのは「働かない」という選択をした人。その理由は社会への違和感。社会への反抗とも言える。例えば、『働いたって、どうせ給料は上がらないよね」とか「苦しい思いをしてまで働く意味ってあるの?」とかそんな感じ。一方、ひきこもりって呼ばれている人たちは、本質的には心のどこかで「ホントは外に出た方がいいよな」とか「働けるなら働いた方がいいよな」って思っている人だって僕は思っている。それでも、過去に受けた心の傷だったり、他者への恐怖だったり、自信を失っていたりでそれが出来ない人たち。『働かないと働けない』の違い。これは全く別物!!
 これまで多くのひきこもり当事者の人に会ってきた。ほとんどの人がひきこもり状態からリカバリーをした後、何らかの社会参加へ向かう。ボランティアだったり、アルバイトだったり、正社員になる人だっている。生き方は人それぞれだから、正社員になった人が偉いってことはないにしても、彼らの姿を見ていると、やっぱり誰かとの交流を求めていたんだなーって思う。それが出来ない、ひきこもりっていう過酷な時期を過ごした彼らは強いなーとも思う。
 8年間のひきこもり生活の後、電気工事会社に就職をした彼に久しぶりに会った。「仕事がツラいから辞めたいっていう若い人を3人止めました」って。「やっぱり、仕事に就くって大変なことだから」。彼はちゃんとした強さを身につけていた。