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110万人の〝ひきこもりびと〟のためにできること。
vol.1
DATE:2019.04.19 WRITER:村山 賢

 平成31年3月30日、『中高年ひきこもり61万人』との文字が新聞に掲載された。色んなテレビ番組でもそのことが特集されていた。この数字は40歳以上のひきこもりの人の数を内閣府が調べたもので、平成29年1月に発表された39歳未満のひきこもりの人の数が54万人だったから、それと合わせるとこの国には110万人を超えるひきこもりの人がいることになる。だいたい人口の1%がひきこもりびとというわけだ。
 
 僕の事務所にも年間20件くらいの相談がくる。「もう10年以上家にいるんです・・・。」とか、「40歳になるまでには外に出したい。」とか「何でもいいから仕事をして欲しい。」とか色々だ。ご家族のその気持ちはよーく分かる。そんな声を聞いて僕が思うこと。『本人はどうしたいって思っているんだろう?』ということ。まだひきこもっていたいと思っているかも知れない。外が怖いと思っているかも知れない。誰にも会いたくないと思っていることだってある。そして、一番苦しんでいるのは本人であるということ。好きでひきこもっている人なんていないんだと思う。それぞれが、それぞれの理由があって家にいるのだ。だって、家が一番安全なんだもの。だから僕は無理矢理会うこともしないし、外に連れ出そうともしない。それは本人の自由だと思うから。でも、「会いたい。」「話がしたい。」と言われたら、絶対に会う!!

 元ひきこもりの人に会う機会が多い。と言うか、事務所に遊びに来てくれるから毎日会う。彼らは極めて純粋で、優しくて、ひきこもりを頑張ったど根性の持ち主だ。その人たちに聞くと、ひきこもっているときに“支援者”を名乗る人が来ても『絶対に会わない!!」という声が多い。そりゃそーだ。ひきこもってるんだから、って思ったりもする。「じゃあ、あなたの支援は何するの?」と言われたら、「本人が会うって言うまで待つことですかね。」なんて答えるしかない。そう、ひきこもりの支援には答えはないのである。そして、その答えは誰も知らない。