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今、ひきこもりを頑張っている人たちへ。
vol.2
DATE:2019.04.26 WRITER:村山 賢

 事務所を開いてからひきこもりに関する相談を頻繁に受けるようになった。そして、多くの元ひきこもりの人たちにも会った。10年前、僕もそのうちの一人だった。もっとも、僕の場合はそこにうつ病という厄介な病気も加わっていたわけだけど・・・。
 ひきこもりをしている間は後悔とか自己否定とか、将来への不安が連鎖的に連なって、のたうち回る日だってあると思う。死にたくなるときだってあるだろう。僕は好きでひきこもっている人なんていないんだと思う。けど、周りにそれを理解してもらうのって、なかなか難しいものだ。僕だってそれを経験したからといって、全てのひきこもりびとの心のうちを理解出来るなんて、これっぽっちも思っていない。そして、僕が全てのひきこもりびとを救えるなんてこともない。出来ることと言えば、「ちょっと外へ出掛けてみようかな。」なんて思う人がいたら、その居場所を用意することと、くだらない話をして笑わせて上げることくらい。ホントにそれくらいなものだ。
 僕の事務所には元ひきこもりびとが毎日のようにやって来る。みんないい人たちだ。そして、それぞれが新しい道へ進んでいくのを眺めているのが、僕は好きだ。もちろん順調にいく人ばかりではないのだけれど、困ったらちょっと立ち止まって、気が向いたらまた進めばいい。そのお手伝いくらいは出来ると思う。そんなことを繰り返しているうちに、あの頃と比べて、ずいぶん遠くまできたなぁ、なんてことに気づくんだと思う。
 今、ひきこもりを頑張っている人たちへ ― 。「外へ出なきゃ。」なんて無理にしないことだ。自分の中に力が貯まるのを感じるまで、安全な場所にいた方がいい。「誰かと話したい。」と思ったら、信用できそうな支援者を頼ることだ。それでも答えは出ないかも知れない。いや、出ないことの方が多いと思う。それでも多少のストレス発散にはなる。
 今はまだひきこもりが否定的なイメージで捉えられることの方が多い。それでも、多くの元ひきこもりびとが社会に出てくるようになって、それをカミングアウトして、今までそれを知らなかった人や理解出来なかった人たちと接触を開始している。ひきこもりが市民権を得るまでもう少しだ。なんてことをこの頃思う。