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ひきこもりびとが抱く哲学
vol.14
DATE:2022.01.25 WRITER:村山 賢

 「なんのために働くんですか?」「なんのために生きるんですか?」ひきこもりの人から聞かれて答えに困る質問ナンバー1と2。ひきこもりの人って深いなーと思う瞬間である。僕はこれまでほとんど感覚に頼ってで生きて来たから、「生きる」ってことに対する理論武装を全くしていない。だからそんな質問に困る。もしかしたら、「それはね。〇〇〇だからだよ」なんて哲学的に答えることが出来たら、その人がひきこもりから脱するきっかけになるのかも知れない。そう。つまりひきこもりの人たちってそんなことを求めているわけだ。僕たちはそれを就労支援とか生活支援とかに置き換えて寄り添おうとする。人によっては迷惑極まりない行為だ。だから、〇〇支援をする前にひきこもりの人たちが抱く哲学的な問いに答えなければいけないんだろうなって思う。
 「なんのために働くんですか?」うーん。楽しいと思える瞬間を感じるためかなー。働くってことは概ね辛くて、面倒なことの方が多い。毎日がハッピーで絶好調なんてこともない。けど、99%過酷な中でも、たまに1%くらいの確率で楽しいことが起こる。それを体験するとモチベーションが100%近くまで上がる。すぐ下がるけど…。その1%の確率で起こる楽しいことを体験するために僕は働いているのだと思う。その1%を10%にしようとは思わない。1%あれば充分なのだ。100回仕事をしたら1回が超楽しい。だからハードな99%を乗り越えられるんだとも思う。
 ひきこもりの人が語る哲学に触れることは僕にとって貴重な機会だ。それは本で読むのとは違う、生きた哲学だから。「どうして私だけ苦しみの中にいるのか?」「ひきこもりは試練なのですか?」「なぜ生まれたのだろう?」なんて言葉たちは超難解な哲学だ。残念ながらその全てに答えることが出来る知力は僕にはない。だから一緒に考える。答えにたどり着かないことの方が多いけど、一緒に考えることで見えてくることがあったりもする。「なんのために生きるんですか?」もしかしたら、その答えには一生たどり着かないかも知れない。たどり着かない方がいいのかも知れない。